東京 渋谷 Bunkamura ザ・ミュージアムにて、2018年11月23日〜2019年1月27日の会期で展覧会『国立トレチャコフ美術館所蔵 ロマンティック・ロシア』が開催されています。
日露交流年であることはもちろん、Bunkamuraの30周年記念のイベントでもあります。

初日には先着100名にオリジナルクリアファイルプレゼントとのことでしたが、開場前にはすでに200名ほどの行列が出来ていたでしょうか。

展示は4章立ての構成になっていて、作品そのものの素晴らしさも当然なのですが、この構成がとても良かったと思います。
イワン・シーシキン(Иван Иванович Шишкин)作の『森の散歩』『雨の樫林』はとにかく精緻に描かれており、ちょっと湿気を含んだ空気を感じ、実際に森の中にいるような感覚を覚えます。
イワン・アイヴァゾフスキー(Иван Константинович Айвазовский)作の『海岸、別れ』『嵐の海』は2つの異なる表情を持つ海の対比が際立つ展示となっています。

ヴィクトル・ワスネツォフ(Виктор Михайлович Васнецов)作の『雪娘』(Снегурочка)で描かれているのはロシア民話に登場するジェド・マロース(西欧でのサンタクロースに相当する)の孫娘で、雪で作られ命を吹き込まれた少女。
ちょうど先日ご紹介したクリスマスイベント、12月2日に開催される『ロシア民話の焼き絵*Russian Snow White Chiristmas** СНЕГУРОЧКА @ART Rabbits』 で扱われる題材ですが思わぬところで本物を観ることができました。
そしていよいよ本展覧会のキービジュアルにもなっているイワン・クラムスコイ(Иван Николаевич Крамской)作の『忘れえぬ女(ひと)』です。 これまで絵画を観て、もちろん感動はするのですが、こんな感覚を覚えたことはありませんでした。自分でもちょっと信じられないのですが。
幾度となく印刷物や画像で観たはずの絵なのですが、実物が視野に入った瞬間、何か胸に詰まる思いが込み上げ、あろうことか涙ぐんでしまったのです。
正直この絵の存在を知ったのはほんの数ヶ月前、特に思い入れがあったというわけではありません。 しかし実際にこの絵を見た瞬間、あたかも長年憧れていた女性に偶然街で出会ったような、一瞬息が止まるようなそんな感じ。
この作品のタイトルは«Неизвестная»、英語では«Unknown Lady»、そのまま訳せば『見知らぬ女』なのですが、1976年に日本でこの絵が初公開された時に『忘れえぬ女(ひと)』という邦題がつけられたそうです。
『見知らぬ女』と『忘れえぬ女』、まったく意味が違ってきます。絵に力があってのことなのはもちろんですが、明らかに私の感情はタイトルに引っ張られたのでしょう。
いまやどういった経緯でこのような邦題がつけられたのかは不明だそうですが、これは『忘れえぬ女』で大正解だと思います。
全体を通して看板に偽り無し、ロマンティックなロシアを感じられる素晴らしい展覧会でした。
そしていつもお楽しみの物販コーナー。
今回の展覧会はチェブラーシカが応援キャラクターということで、『忘れえぬ女』コスチュームのチェブラーシカグッズが揃っています。

また、チェブラーシカのデジタルスタンプラリーも行われています。

そしてお腹が減ったらレストランの『ドゥ マゴ パリ』もしくは『ロビーラウンジ』へ。
展覧会開催期間はスペシャルメニューとしてロシア料理を提供しています。
1F『ロビーラウンジ』でボルシチ&オリヴィエサラダをいただきました。
展覧会の半券にて割引もありますのでご観覧の際にはぜひ。
