
旧ソビエト連邦における大衆音楽を『RED FUNK』として提唱し紹介している山中明さん。2022年1月20日、『ソ連ファンク: 共産グルーヴ・ディスクガイド』を出版されることになり、山中さんにお話を伺いました。
(関連記事 ➡️ 『RED FUNK NIGHT 〜鉄のカーテンの奥にある音楽〜 山中明 @IAI Gallery』 )
── 出版おめでとうございます。イベントやSNS、そしてもちろんお店でも旧ソ連の音楽について情報発信されていますが、プロでいらっしゃるから当然なのかもしれませんが、どのようにしたらこのような音楽を知ることができるのか、どんな原体験がおありなのか興味があります。最初に音楽に興味をお持ちになったのは?
リアルタイムはCD時代で、小学生の時に意識的に好きになったのはサザンオールスターズです。
── 逆に意外な名前が出てきて驚きました!
レコードを初めて買ったのは20才ごろ。あまり覚えていないですが、The Beach Boysの『Wild Honey』と『20/20』の2in1 LPだった気がします。

── そこからどのようにして旧ソ連の音楽にたどり着いたのですか?
小学生の頃は西ドイツに住んでいたのですが、その時に訪問した東ドイツで共産圏というものに強いカルチャー・ショックを受けました。 その後プログレやサイケが好きになり、世界の風変わりな音楽を探すようになったのですが、そんな子供の頃の経験もあってか、自然とソ連の音楽へと辿り着いたんだと思います。
── なるほど、肌で感じとられていらっしゃったのですね。そしてご自身がレコードバイヤーとなられて、それらの音楽を紹介していこうと。
元々は個人的な趣味でソ連のレコード集めていたのですが、この面白いシーンを皆にも知って欲しいと思うようになり、自身の店(ディスクユニオン)でも販売をするようになりました。
そしてお買い上げの方に特典で差し上げていたのが、この本の前身にあたるフリーペーパー『RED FUNK』です。
その後それを元に発展させ、この本を執筆し始めました。

── 今回のディスクガイドの見所を教えてください。
世界広しといえども、ほとんど紹介されることのなかった作品を約500枚紹介しています。
また、レコードの研究者として、レコードのオリジナル盤判定やソ連のプレスにまつわる状況等の解説、そして全ての作品に入手難度も記載しています。
その他にも、肋骨レコードに代表される特殊レコードの紹介や、現代のヒップホップとの関係性等々、多種多様なコラムも充実しています。
── 楽しみですね!
最後に読者のみなさんへメッセージをいただけますか?
これを機会に少しでも多くの方にソ連音楽の魅力を知っていただくとともに、あなたの音楽の固定観念を覆す一冊となれば幸いです!
『ソ連ファンク: 共産グルーヴ・ディスクガイド』

ジャズ・ロック・ポップス・ソウル・サイケ・プログレ・ディスコ等
国営レーベルMelodiyaがリリースした
ソ連版レアグルーヴをRED FUNKとして再評価!
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- Melodiya 国営レーベルと同じ名を授かった伝説のジャズ・アンサンブル
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- VIA-75 グルジア伝承音楽を再解釈する孤高のジャズ・ファンク・グルーヴ
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- Vagif Mustafazadeh アゼルバイジャン伝統ムガムとジャズを融合した早世のピアニスト
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- Orizont ソ連でいち早くEW&Fを体現したモルダヴィアの先駆的ファンキーVIA
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- Nerija ソ連式必殺の盗作隠しや民謡改変爆発のリトアニア・ファンク
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- Raimonds Pauls VIA的サイケサウンドを体得しラトヴィアから世界的コンポーザーへ
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- Alexander Gradsky 西側カバー脱却、ロシア語ロック追求したソヴィエト・ロックの父
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- Yuri Morozov 当局に監視され自宅で実験音楽を録音し続けた赤きシド・バレット
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- Gunesh リズム・グルが先導するトルクメン・プログレッシヴ・モンスター
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- Oktava 劇物ファズを過剰摂取したリトアニアン・サイケデリア集団
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- Samotsvety, Pesnyary, Murad Kazhlaev, David Tukhmanov, Gaya, Iveria, Ariel, Modo等
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- 肋骨レコード、ソノシート付月刊誌クルガゾール、映画『ソヴィエト・ヒッピー』等のコラムも
- 著 者:
- 山中明
- 出版社:
- パブリブ
- 単行本:
- A5 208ページ
- 価 格:
- 2,530円 (税込)
- 発売日:
- 2022年1月20日(木)

山中 明
Instagram @akira_yamanaka_
Twitter @_Akira_Yamanaka
1979年生まれ。神奈川県出身。レコード・バイヤー&リサーチャー、ライター、漫画家。
2003年より(株)ディスクユニオン所属。日本初のサイケデリック・ロック・ディスク・ガイド「PSYCHEDELIC MOODS ‐ Young Persons Guide To Psychedelic Music USA/CANADA Edition」編著。レコード文化の発展に寄与すべく、各種媒体にてコラムや漫画等執筆中。
mysoundマガジンにて『レコにまつわるエトセトラ 』『レコードジャンキー富和 』連載中。