
撮影=坂本正郁 ©劇団青年座
米ソ宇宙開発競争を描いた『劇団青年座 第242回公演 ズベズダ -荒野より宙(そら)へ』が2021年9月10日〜9月20日に東京シアタートラムにて上演されます。
今春日本でも公開された日露合作映画『ハチとパルマの物語』にもご出演され、本公演ではソ連科学アカデミーのムスチスラフ・ケルディシュを演じていらっしゃる俳優の高松潤さんがご自身も航空宇宙工学を専攻されていたということでお話を伺いました。
【あらすじ】

第二次世界大戦末期、アメリカとソ連による「生ける戦利品」として
ドイツ人科学者の争奪戦が始まった。
ソ連は、1946年までに2万人を超える科学者とその家族を拉致し、中でも利用価値の高かったロケット研究者たちをゼーリガー湖の中の「ゴロドムリャ島」に強制収容し、ナチスドイツの進んだ技術を吸収して秘密裏にロケット開発を進めた。
そして1957年、ついにソ連は初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げを成功させる。
これにより米ソの宇宙開発競争が幕を開けた。
1961年には初の有人宇宙飛行を成功させるなど開発競争は、ソ連がアメリカをリードしていた。
しかし1962年のキューバ危機により状況は一変する……。
米ソ冷戦構造の中、技術力や経済力を示す役割を担っただけでなく、
自国のイデオロギーの正しさを世界に強く主張するために繰り広げられた宇宙開発競争。
ロケット開発にかけた科学者たちが夢見たものとは……。
―― 日本にいると西側からの視点がまるで一つの真実であるかのように思ってしまう人が多いかと思います。米ソの宇宙開発競争について言うと、映画『ドリーム (原題:Hidden Figures 米/2016年)』ではマーキュリー計画(米国初の有人宇宙飛行計画。ユーリ・ガガーリンの乗るボストーク1号に先を越される)を描いていたり、ドラマ『フォー・オール・マンカインド (原題:For All Mankind 米/2019〜)ではもしも最初に月面着陸をしたのがソ連だったら?と言うイフストーリーを描いています。こうした米国作品でも近年あからさまな敵国という表現ではなく、常に先を行く脅威的なライバルという描かれ方が多くなってきているとは思いますが、それでもやはりソ連側の状況が掘り下げられることは少ないです。
現実にはソ連もかなり薄氷を履むような、ギリギリの開発を行なっていたようですが、米ソのスタート地点が同じドイツの技術だとして、実際この時代のソ連の技術というものはその実績通り、米国のはるか先を行くものだったのでしょうか?
高松潤:私見ですが、1950年代、技術に関してはアメリカと甲乙付け難いものだったのではないかと考えます。というのも原爆・水爆などの開発は常にアメリカが先行していました。しかしロケットに関しては、陸海空軍がそれぞれ独自の開発をしていたため、技術はあっても全く力を集結出来なかったんですね。一方、ソ連はスターリンの死去により、政権交代と政策の転換によってロケット開発が国策として推進され、技術が急激に向上していった。その違いだと思います。
―― 現在宇宙飛行士になるにはロシアでの訓練やロシア語の習得は必須のようですが、技術面での交流というものは日露間で行われているのでしょうか?
高松潤:詳しくは分かりませんが、かなりあると思います。と言うのも、そもそも日本の茨城県にある筑波研究学園都市は、ロシア科学アカデミーシべリア支部(ノヴォシビルスク市アカデムゴロドクにある科学研究都市)をモデルにしたそうです。
国際宇宙ステーションで行われたスペースオリンピック
―― 科学か軍事か。現在でも宇宙開発によって得た技術の軍事転用ということは少なからず行われているのかとは思いますが、民間での宇宙開発も活発になってきており、国家間というよりは企業間の競争になってきています。
高松潤:今年は「宇宙旅行元年」、「2021年宇宙の旅」とも言われ、民間企業が注目されていますし、更には私の母校・日本大学でも超小型衛星「てんこう2」が来年度に打上げられます。競争により宇宙がどんどん身近になる事は、私達にとって良い事だと思います。なぜなら私達が飛行機で世界を旅する様に、宇宙旅行が気軽に出来る時代がもうそこまで来ている証拠だからです。当時のソ連の技術者たちが今の状況を見たら、空いた口が塞がらないでしょうね。

撮影=坂本正郁 ©劇団青年座
―― 『ズベズダ -荒野より宙(そら)へ』の見所を教えてください。
高松潤:まず第一に青年座ならではのアンサンブル!これは間違いないです。そして野木萌葱さんの素晴らしい脚本、黒岩亮のキレのある演出、横堀悦夫(主演のセルゲイ・コロリョフ役)と綱島郷太郎(ヴァレンティン・グルシュコ役)ら充実した俳優陣、そして青年座本公演初舞台の尾島春香の初々しい演技にもご注目ください。日露共同製作映画「ハチとパルマの物語」をご覧頂いた皆様には、全く違う私の一面も楽しみにして頂けたら幸いです。この様な状況下ですが、宜しくお願い致します。
―― ありがとうございました。
劇団青年座 第242回公演 ズベズダ -荒野より宙(そら)へ

©劇団青年座
【スタッフ】
- 作
- =野木萌葱
- 演出
- =黒岩亮
- 美術
- =阿部一郎
- 照明
- =中川隆一
- 音響
- =城戸智行
- 衣装
- =三大寺志保美
- 舞台監督
- =尾花真
- 製作
- =川上英四郎
【キャスト】
-
セルゲイ・コロリョフ
(第一専門設計局) - =横堀悦夫
-
ヴァレンティン・グルシュコ
(第一専門設計局) - =綱島郷太郎
-
ドミトリー・ウスチノフ
(ソ連国防工業大臣) - =矢崎文也
-
ニキータ・フルシチョフ
(ソ連共産党第一書記) - =平尾仁
-
ムスチスラフ・ケルディシュ
(ソ連科学アカデミー会員) - =高松潤
-
ヘルムート・グレトルップ
(ドイツ人科学者) - =須田祐介
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グルト・マグヌス
(ドイツ人科学者) - =鹿野宗健
-
アルベルト・レーザ
(ドイツ人科学者) - =久留飛雄己
-
アレクサンドル・スヴィーニン
(科学アカデミー研究者) - =桜木信介
-
ルカ・ヤノフスキー
(科学アカデミー研究者) - =伊東潤
-
レイラ・ゼレノヴァ
(科学アカデミー研究者) - =尾島春香
- 日 程:
-
2021年9月10日(金)~20日(月)
受付開始は開演の45分前、開場は開演の30分前。
【アフタートーク】★9月18日(土)終演後 ※詳細は決まり次第掲載します。
【バリアフリーサービス】
◆音声ガイドサービス:(9/16、19/青年座に要予約)
介助者は1名無料
〇台本事前貸出 青年座にご連絡の上、ご利用下さい。
〇受付での筆談対応など、お気軽にお申し出下さい。 - 場 所:
- シアタートラム
- 入 場 料:
-
U25、U18:当日精算のみ。年令確認の為、受付にて身分証をご提示いただきます。
名刺交換割引:劇場の専用受付で名刺交換をしていただくと、5,000円に割引いたします。さらに今後の青年座公演についてご案内させていただきます。
・託児サービス:(定員有/要予約)
料金=2,200円 対象=生後6ヶ月以上9歳未満
・車椅子スペースのご案内:(定員有/要予約)
料金=一般料金より10%割引(付添者は1名まで無料)
※「託児」と「車椅子」のサービスはご希望日の前日19時までに劇場チケットセンター 03-5432-1515 にご連絡下さい。 - チケット:
-
一般前売り開始 7月28日(水)11:00~
劇団青年座
0120-291-481 受付時間 11:00 ~ 18:00 土日祝除く
ネット予約:https://www.quartet-online.net/ticket/zbezda2021
世田谷パブリックシアター チケットセンター
03-5432-1515 受付時間10:00~19:00
窓口での発売、発券はございません
チケットぴあ
0570-02-9999 オペレーター対応 10:00 ~ 18:00
Pコード 507-105
Peatix
ネット予約:https://zbezda2021.peatix.com