去る10月19日〜25日、『第2回 ロシア映画祭 in 東京』が開催され、2016年〜2018年制作の映画8作品が上映されました。
- 日 程:
- 2018年10月19日(金)~10月25日(木)
- 主 催:
- JIC国際親善交流センター
- 協 力:
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一般社団法人ユーラシア国際映画祭
ロシア文化省、在日ロシア連邦大使館
7日間の会期のうち、10月20日の『不思議な少女ドミニカ』[原題:Доминика](2018)、同21日の『ピオニールの名の下に!少年たちの最後の夏』[原題:Частное пионерское 3](2017)、そしてロシア大使館にて上映となった同23日の『田舎の純情物語』[原題:Жили-были](2017)、『302 ビス』[原題:302 БИС](2017)の計4本を鑑賞しました。
各日とも入場料は無料、事前にメール/FAX/電話予約さえしておけばとのこと。当日は予約がなくとも席に空きがあれば入場可能ということでしたが、20日、21日に関しては入場時の予約チェックなどもありませんでした。予約の時点では席が埋まっていなかったということなのでしょう。ただし、開演時までにはほぼ席は埋まってしまい各日とも大盛況でした。
(※23日のロシア大使館だけは事前に大使館側への入場者名簿の提出が必要とのことで事前予約が必須)
『不思議な少女ドミニカ』[原題:Доминика](2018)
若いオレグ・アゲイチェフ監督のデビュー作。今回観た中ではもっとも現代的な作品。
“天才肌の建築家コンスタンティンが自宅前に捨てられた子供を預かり、ドミニカと名付ける。不慣れな子育てに奮闘しながらも次第に心を通わせていく。”
というよくある子育てコメディーのようですが、この子供が叱られるたびに(物理的に)成長していき魅力的な美人になっていくというファンタジー要素を絡めてあるところがミソ。
『ピオニールの名の下に!少年たちの最後の夏』
[原題:Частное пионерское 3](2017)
“主人公のミーシャとジーマは、ミーシャがずっと片思いをしていた元同級生エレーナを探すためモスクワへ。様々な出会いの末、二人はあるお金持ちの息子の別荘で彼女を見つける。そこで彼女が金持ち息子の犯罪的な策略にはまっている事を知り、救出作戦を開始する。”
2017年の作品ですが、時代設定はソ連時代。
主人公の少年が、アメリカ製のジーンズさえ手に入れれば幸せになれると信じ、自分の持っているソ連のピンバッジコレクションをわらしべ長者のようにいろいろな(西側諸国の)品々と交換していきついにラングラーのジーンズを手に入れたり、WingsやQueenのレコードが高値で取引されていたり、当時の一般市民の西側諸国に対する意識というものと政治的な状況というものはかなりギャップがあったのでしょうか。
原題を見るとわかるように、この作品はシリーズ3作目とのことで、登場人物の関係性などは前作から引き継いでいますがストーリーとしては単独で成立しています。
時代設定だけでなく作劇もとてもクラシックな、安心して観られる作品です。
1も2も、日本語字幕なしで良ければYouTubeで観られると思います。
『302 ビス』[原題:302 БИС](2017)
17分の短編。今回は上映前にプロローグ的な朗読劇あり。(後述)
“売れない作家の男が自身の未来に絶望し、恋人に助けを求める。しかし彼女は男に甘えを感じとり煽り立てる。最後の希望も失った男がとった行動、そしてその結末は…。”
『田舎の純情物語』[原題:Жили-были](2017)
“ロシアの僻地に村に住む二人の独身年配男性。ある日、同じ村に住む年配女性が突然未亡人となり、彼女のハートをめぐる二人の独身年配者の争いが勃発する。”
…ようにみえて実は……ブロマンスコメディ。
このようなロシアの田舎の生活というのもなかなか見ることができません。
この映画祭、ロシア大使館で上映された日はもちろんのこと、その他の日もロシア人の方が多く来場されており、幕間ではロシア語が飛び交っていました。
また私が鑑賞した作品中3本はコメディタッチの作品でしたが、ロシア人の方の笑うポイントの違いを感じました。これは文化の違いなのか、あるいは単に翻訳の時点でニュアンスが落ちているようなケースもあるのかもしれません。
ロシア映画であっても日本での一般劇場公開の場合には多くのネイティブの方達と一緒に映画を鑑賞するという体験は出来ませんので、非常に興味深いものでした。
今回の映画祭で上映された『302 ビス』とその上映前に朗読劇を演じられた女優のЛиза Арзамасоваさんも来日されており、パンフレットにサインをいただきました。