
ロシア料理が好きですか? ロシア好きの皆さんはいろいろな料理をご存知かとは思いますが、一般にはロシア料理といえばボルシチ、ピロシキ、ビーフストロガノフですね。ロシア料理店などもランチといえばこれらのメニューが中心になっています。
ボルシチは市販のものも割と多く販売されています。そこで、比較的入手のしやすいものに限っていますが、市販のボルシチの味くらべをしてみたいと思います。
ルールとして、調理が必要なものは極力パッケージにある分量を守り、アレンジはしないこととします。また、一部例外を除き中沢サワークリームを使用、ディルを散らします。
自家製
まずは評価基準の設定も兼ねて自家製を試してみます。
レシピはいろいろなバリエーションがあると思いますがこちらを参考にしました。
端折れる部分は端折ってしまっても構わないと思います。今回も、にんじんなどはささがきにするところを端折って輪切りにしてしまったりしています。しかし、鍋に入れたスプーンが立つこと(具材たっぷり)という部分は守りました。また、血のような赤い色も欲しいですね。

材料について、生のビーツは入手しにくい場合もあるかと思います。その場合は缶詰のものでも構いません。
今回は福岡のロシア菓子ソ―ンツェ さんの無農薬・有機肥料の自家栽培のビーツを使用しました。
こちらはいつもあるわけではありません。収穫があればソーンツェさんのInstagram やFacebookページ にお知らせが出ることがあります。東京で買うと1つ400円くらいしますので、福岡からの送料がかかりましたがそれでも充分割安に入手できました。
それ以外は玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、牛肉と、特に入手しにくいものはありません。
カレーなどと同じく、作ってすぐよりも二日目以降の方が旨味が増します。こちらも敢えて一晩寝かせました。
色もいい赤が出ています。実は初めて本格的なボルシチをいただいた際には、そのあまりの赤さに血を連想してしまい、めまいがしてしまいました。が、慣れてきてしまうとこのくらい赤くないと物足りなく感じるようになってきました。 味付けも自分のさじ加減ですので、とても美味しく出来ました。

MCC 名店シリーズ 渋谷ロゴスキー いなか風ボルシチ

こちらは温めるだけで食べられるレトルトタイプです。
ロシア料理店ロゴスキーの名前を冠していますが、こちらのエム・シーシー食品というメーカーは他にも数種類のボルシチを販売しています。
しかし、こちらのロゴスキーのものは普通のスーパーでもよく見かけますし、一番入手しやすいのではないでしょうか。
ロゴスキーの定義で言うと普通想像するビーツたっぷりのボルシチを発祥の地にちなんで「ウクライナ風」と呼び、それに対してよりトマトを多く使い具材が大きくカットしてあるものを「いなか風」と呼んでおり、お店ではその二種類のボルシチを提供しています。
こちらの商品は1食分250g。大きめの肉と野菜が多めに入っています。こちらとパンでもあれば充分に食事になります。しかし前述の通り、ビーツの鮮やかな赤色はありません。日本人向けにアレンジされたボルシチです。
成城石井 ボルシチ

高級スーパー、成城石井ブランドのレトルトタイプです。
1食分200gで、こちらも大きめの肉が入っています。しかしよく知るボルシチとはちょっと違う気が…。パッケージを見ても想像がつくかもしれませんが、デミグラス感が相当あります。黙って出されればビーフシチューと思うだろう味です。
美味しくないわけではありません。しかしボルシチだと思っていただくとちょっと違和感はあると思います。
アシストバルール ボルシチ(2倍希釈)

こちらはアシストバルールというメーカーの瓶詰めの商品。
ひと瓶500gで、スープがペーストになっており同量の水で希釈するタイプですので4人〜5人分となります。完全にペースト状になっているわけではなく野菜は形が残っています。
肉だけは入っていませんので別に用意しました。スープ自体は出来上がっているものですので、肉を煮込んでスープを取る必要はありません。ですので、出汁を取ってしまうには勿体無いちょっといい肉を入れて贅沢に楽しむのもいいかもしれません。
こちらの商品は「FOODEX JAPAN 2019/国際食品・飲料展」で開催された「FOODEX美食女子アワード2019」において銀賞を受賞した とのことです。
にんべん ボルシチ


こちらはスープの素とスパイスのみ入っている商品で、肉や野菜などの具材は全て用意しなければなりません。
今回のルールとして、調理が必要なものはパッケージ通りの材料・量を守るということにしています。パッケージには材料としてじゃがいも、にんじん、キャベツ、牛肉とあります。つまりビーツと調味料を除いて、全て一から作るのと同じ材料を用意しなければなりません。 スパイスはオレガノで、これで肉・野菜を炒めてから水とスープの素を入れます。
分量を守って作りましたが、ちょっと味が濃いようです。というか、かつお出汁が効いてる? めんつゆのような余韻を感じました。にんべんですから。それはそれで美味しくないわけではないのですが、ちょっとボルシチとは違うもののような感じがしました。
そして、下ごしらえ等ここまで手をかけるのであれば、ビーツを用意して全て作ってしまうのとあまり手間が変わらないのでは…とも。スープは出来ているので若干煮込みの時間短縮にはなるかもしれませんが…。
S&B 旅する世界の一皿ボルシチ


S&B食品「旅する世界の一皿」シリーズ。他に「ビーフストロガノフ」もラインナップされています。1箱3皿分。
こちらも具材は一切入っておらず、煮込み用ペーストとサワークリームペーストが入っています。
肉・野菜を炒め、水と煮込み用ペーストで煮込み、最後にサワークリームペーストを溶かしてさらに5分煮込みます。
このサワークリーム”ペースト”によって、なぜかとろみが付きます。こちらはこのサワークリーム”ペースト”がありましたので、中沢サワークリームは入れませんでした。

完成すると、成城石井のボルシチに似てこちらもビーフシチューに近い感じがします。
また作る手間についてもにんべんのものと同様、ここまでするなら全て作ってしまってもいいかなとも思います。
結論
今回試した市販のものの中では、やはり賞を取っただけのことはありアシストバルールのボルシチが一番かと思いました。手間のかからなさと味の再現度においてバランスがいいです。
エム・シーシー食品と成城石井のレトルト2商品は、とにかく温めるだけという手間のかからなさは嬉しいです。いわゆるボルシチとはちょっと違うものでしたが、エム・シーシー食品では他にも何種類かのボルシチを販売していますので試してみるのもいいかもしれません。
にんべんとS&Bの2商品については、どうしてもビーツの入手が難しい場合の利用に限定されるかなという印象でした。ただ、今回は一切アレンジを施しませんでしたので、自分なりのアレンジをしてみるのは面白いかもしれません。
しかし、やはりビーツをふんだんに使った自家製のものに勝つのはなかなか難しいようですね。
あくまでも主観でのレポートですので、ぜひご自身でお試しください。
番外 北海道真っ赤なビーツのポタージュ

こちらは番外編として。 ビーツのポタージュスープ。カップにお湯を注ぐだけのものです。
ちょっと甘みを強く感じます。 ボルシチとは全くの別物ですけれど、忙しい朝に手軽に飲めるのはいいかもしれません。