
『チェブラーシカ』(ロマン・カチャーノフ監督)、『霧につつまれたハリネズミ』(ユーリー・ノルシュテイン監督)の制作スタジオとして著名なモスクワのソユーズムリトスタジオが15年の歳月をかけて紡ぎあげた異色ファンタジー『ホフマニアダ ホフマンの物語』が東京都写真美術館ホールにて4月、緊急公開。
主人公はドイツ幻想文学の巨匠E.T.A. ホフマン。『くるみ割り人形とネズミの王様』『黄金の壺』『砂男』といった代表作の登場人物達とともに、現実世界と空想世界(アトランティス)を彷徨い続けるという、ホフマン文学の世界観に溢れた作品である。
ホフマニアダ Hoffmaniada – ホフマンの物語 公式サイトより
制作期間15年のロシアのパペットアニメーション、『ホフマニアダ ホフマンの物語』が4月26日まで東京写真美術館にて公開中です。
ホフマニアダ ホフマンの物語 [原題:Гофманиада]
- 監 督:
- スタニフラフ・ソコロフ
- 脚 本:
-
ヴィクトル・スラフキン
スタニスラフ・ソコロフ - 音 楽:
- シャンドル・カロシュ
- 製 作:
- 🇷🇺ロシア (2018)

タイトルにあるホフマンとはエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(Ernst Theodor Amadeus Hoffmann, 1776年-1822年)。ドイツの作家、作曲家、音楽評論家、画家、法律家。多彩な分野で才能を発揮した天才で、バレエ『くるみ割り人形』の原作『くるみ割り人形とねずみの王様』の作者として有名です。
この物語はそのホフマンが主人公となり、彼自身の作品である『黄金の壺』『砂男』『くるみ割り人形とネズミの王様』の世界を行き来するというファンタジーです。
パペットアニメーション(あるいはクレイも含むストップモーションアニメ)というのはチェブラーシカのように可愛いだけではなく、なぜかこのような(ダーク)ファンタジーとも相性がいいようです。
すぐに思い浮かぶのはティム・バートンの『ナイトメアー・ビフォー・クリスマス』をはじめとする一連の作品。
ちょっとユーモラスな造形のキャラクターながら、同時にゾッとする怖さも持ち合わせているのは人形というものの持つ魔性のせいでしょうか。
この『ホフマニアダ ホフマンの物語』はファンタジーに振り切っていて、またエンドロールにもその映像が流れますが制作期間15年という気が遠くなるようなその過程も想像されてクラクラと目眩がしそうです。
ネタバレということもありませんので、ご覧になる際には会場で販売されているパンフレットを事前にお読みになってから鑑賞されるのがよいかもしれません。

また同期間に、こちらは英国映画ですが1951年制作のオペラ・バレエ映画『ホフマン物語』も併映(鑑賞料金は別途)されています。
フランスの作曲家ジャック・オッフェンバックの1881年初演のオペラ作品の映画化で、ベルリン国際映画祭銀熊賞とカンヌ国際映画祭特別賞を受賞しています。
4月2日(火)より4月26日(金)まで
※休映日 毎週月曜日、および20日(土) 全日・21日(日) 午後
『マイリトルゴート』とのカップリング上映
会場:東京都写真美術館ホール (MAP )

上映時間
11:00(10:50開場・12:40終映)
16:00(15:50開場・17:40終映)
18:30(18:20開場・20:10終映)
料金(税込)
一般 1800円 /学生 1500円 /シニア 1100円
※各種割引については、東京都写真美術館HP にてご確認ください。
さてこの『ホフマニアダ ホフマンの物語』と同時上映される『マイリトルゴート』。
こちらは見里朝希監督が東京藝術大学大学院アニメーション科の卒業制作として1年がかりで完成させたフェルト人形アニメーション作品。
先ほどパペットアニメーションの『怖さ』について触れましたが、この『マイリトルゴート』、ホラー映画ではありませんけれどもこれまで観たどのホラー映画よりも怖かったかもしれません 笑
