
20世紀最高のバレエダンサーと言われるルドルフ・ヌレエフ(Рудольф Хаметович Нуреев)の半生を描いたレイフ・ファインズ監督作品『ホワイト・クロウ』[原題:The White Crow]、東京国際映画祭2018コンペティション出品ということで東京 六本木 EX THEATREにてプレミア上映され、レイフ・ファインズ監督もQ&Aに登壇されました。
『ホワイト・クロウ』 [原題:The White Crow]
- 監 督:
- レイフ・ファインズ
- 出 演:
-
オレグ・イベンコ
アデル・エグザルコプロス
ラファエル・ペルソナス - 制 作:
- 🇬🇧イギリス (2018)
ルドルフ・ヌレエフは17歳でロシアバレエの名門校、ワガノワ・キーロフバレエ学院で本格的なバレエを学び、名教師プーシキンに師事したのちにキーロフ・バレエ(現マリインスキー・バレエ)に入団。しかし激しい性格と反抗的な態度から政府にマークされされるようになり、1961年フランス公演の途中に亡命しました。
本作品はこの亡命までを描いています。 外連味のない演出で非常にクラシックな味わいです。
パリ公演において必要以上に西側の関係者と接触することを禁じられていたヌレエフですが、彼はバレエに対する向上心、好奇心からそれにとらわれず積極的に交流をしていきます。 それゆえ規律を守らないヌレエフは当局にマークされ、公演中に強制的にモスクワへ帰されてしまいそうになります。ヌレエフが今まさにモスクワに帰されてしまうか亡命をするかという場面が非常にスリリングに描かれています。
キャスティングに際しては俳優としての演技よりもバレエが踊れることを重視したとのことで、本作の主演はタタールスタン国立カザン歌劇場バレエ団のソリスト、オレグ・イヴェンコが選ばれました。またセルゲイ・ポルーニンも出演していますので、劇中のバレエが本物中の本物で非常に迫力があります。
本作は英国BBC制作でレイフ・ファインズ監督も英国人ですが、本編はほぼロシア語です。 レイフ・ファインズ監督自身もヌレエフのバレエ教師となるアレクサンドル・プーシキンを演じており、流暢なロシア語を話しています。Q&Aにて「本当は監督に専念したかったがバジェットの都合でやむなく出演」「ロシア語に関しては少し話せる程度だがポストプロダクションで修正した」と話されていました。しかし私にはどこかクイーンズイングリッシュ的な優しいロシア語に聞こえまして、これはご自身で出演されて大正解だったと思います。
時期は未定ですが2019年に一般劇場公開の予定です。